勤労学生なんて幻想に過ぎない

昔は貧しかった人が多かったので「いったん社会人になって働いてお金をためて、それから大学に進学しました」という話がとても多い。私の身の回りにも、大学進学のために親のすねをかじることはよくない、と主張する人がいる。そりゃトータルで数百万円規模の金額になる話を、親のすねをかじって大学に行くというのは、とても子どもを甘やかしている類の話になってしまう。親からしてみれば「そんな贅沢な話とんでもない」という人がとても多い。というか、不可能に近いのが本音である。

しかし、今は回り道が許されない社会になってきつつある。少子化で18歳人口が減ってくるにしたがって、浪人生や留年している人がだんだんと減ってくる。ということは、現役で大学に合格して、ちゃんと4年間で卒業できた人がほとんどになってきたということである。そうなってしまったので、大学浪人組などというのはマイノリティになった。私も大学浪人して就職活動をしたが、3分の1ぐらいは門前払いを食らってしまった。日本社会はマイノリティにとても厳しい。ということは、大学進学するのに浪人したという事実だけで、就職の機会が奪われてしまうということが起こりうる。

働いてお金をためてから進学するということは浪人するということと結果的に同じになってしまう。せっかく大学に入学しても、浪人というハンデがあるがために就職ができなくなったということも現実に起こりうる。今までは日本育英会とかあったが、結局は教育ローンだし、お金を借りられない人だって出ている。ということで、社会全体の問題として大学進学するためのコストを低く抑えるべきである。