おもしろいとは何か

最近考えることのひとつに、おもしろいとは何か、というのがある。これは意味論の世界に入ってしまうと思う。記号と意味を結びつけるというのは人間の意識だけができることである。たとえばリンゴを思い浮かべれば食べ物とか、赤いというのがある。リンゴというものがあるだけで、そこからすぐに意味が出てくるというのは不思議なことである。

人間はバックグラウンドがそれぞれ違うから、ある事象にたいして帰結される意味が違ってくる場合がある。人間どうしは他と異なる部分と同じ部分があるのがとても興味深い。女という性別の人間ならばすぐに共感できる事象があったり、同じ学生たちに呼びかけてもそれぞれ違った意味が帰結されたりする。人間は他と異なる部分と同じ部分を併せ持って生まれてきている。

他と異なる部分はいわゆる個性と言われる。個性が強烈だとか、個性がないとかは他と区別する、区別できうる特徴を持っているからである。また一方、人間はみな共通の属性を持っていることがある。たとえば手に神経が通っているから針で刺せば痛みを感じるとか、のどが渇けば水をほしがるといった具合である。人はこの他と同じ部分があるからこそ、共感というものが成立する。

人間は共通な部分が多ければ多いほど自明な事象が多くなり、省略というが生まれる。それが親しさに繋がる。また、フルセンテンスで文章を言うと、丁寧だけれども距離を置くという感覚を生じさせる。言語とは省略・不省略によってだいぶ相手に与える感覚が違ってくる。