研究棟内のカメラについての返信メール

うちの大学の4年生からいただいたメールの返信についての、私のメールの内容をここに書いておきます。やっぱりカメラ問題とはいえ、プライバシーではあまり問題提起にならないような気がするんだけどねえ。。。

いろいろとメールの返信ありがとうございます。

私がいろいろな人の意見を聞くのに、この問題を解決するのはプライバシーという切り口ではちょっと不十分なのではないかな、というのが私の感想です。

なぜかというと、これだけ町の中のいたるところに監視カメラがあって、「だからどうしたの?」という人も少なくないのです。むしろそっちのほうが多いように感じます。

全体として、だいたい2割の人がカメラに賛成で、あと2割の人が反対に回るけれども残りの6割はどうだっていい、という立場です。逆に、プライバシーとかなんとかいって、実は悪いことしてるのばれたら困るんでないのとか変な疑いを与えてしまっても困ります。

そういう雰囲気にあって、2割に属する私たちがいくらプライバシーの問題としてこれを捉えていっても、難しいのではないかなと思うのです。まず最初に人間はそれぞれ違った生まれ育ちの環境があるので、ある事柄に関する感覚というのも違ってきます。だから、プライバシーに鈍感な人から見れば、「何ぎゃーぎゃー騒いでいるの?」と見られてしまいます。

ともかく、いろいろな立場の人がいるので利害関係も複雑にからんでいますしでもいろいろな理由をつけてこちら側陣営に味方してくれるような考え方とかそういうのをなるべくしたほうがいいんじゃないかなと思います。民主主義社会はいろいろな考え方を許容しますが、やはり多数決の原則で物事が決まります。味方は多い方がいいですよね。まあ、そういうのを懐柔(かいじゅう)っていいますけど。

とりあえず1600万円のお金の責任問題にしてしまったほうが早いかなとか思ってしまいます。そもそも研究棟を建設したときにこのカメラを設置したのはどういういきさつだったのかとかです。そもそも許可がなければ何もできませんよね。しかも公立大学ですし。

まずは「1600万円のお金をあんなくだらないことに使うよりは、大学の予算が足りないところがまだたくさんあるんだよ。ここに使えばもっとみんながハッピーになれたはずなのに」とかいう路線のほうが楽だとは思いますけどね。まあカメラに反対するのにはあともうひとつくらい大きな理由があるべきですけどね。

今のところ、上田先生がかなり健闘してくださっておられるので、カメラは撤去の方向になるとは思いますが(「嫌」の一押しで意見が通るとはさすがカオス第一発見者やな^^;)今度からは反対するのにも少し知恵がいるとは思います。

なんていうか、問題がひとたび起きたら、物事をあまりに一元的に見すぎだと思います。それではあまりに単純すぎです。力学だってxyz軸の三つ+時間という4つの変数があるのにですよ。もうちょっと相手の裏をかくようなとは思いませんけど、登山ルートがひとつとは限らないように、反対するのならもっと多元的に物事を見た方がよいかなと思います。

あと、プライバシー問題という性質もあってか、反対側はかなり個人的な感情に傾いてしまっていましたですよね。反対する理由があれではぜんぜんお話になりません。そもそもここは大学ですよ。感性も大事ですけど、理性によって支配されるべき場所です。社会の中で一番論理的であるべき場所です。それが個人的な感情に支配されては相手の思うままです。

次の説明会に協力してほしいとのことですが、反対している人が個人的な感情の暴走であるかぎり、いくら説明会を開いたとしても、あまり意味はないんじゃないかな、と思います。そこはきちんと他人を説得できるような論理と、それを支持してくれる人が全体の半分ぐらいいないと、とてもとても。。。

今回の説明会で一番印象に残ったのは、学長はとても中立という立場を守ることができる人だし、器の大きい人だなーと思いました。あの先生を素直に納得させるような議論ができるならば、勝算は大きいと思います。

カメラ廃止&撤去に向けては、反対側陣営がなるべく中立かつ客観的のような議論をして、合理的にすすめないと、難しいと思います。