昔の思い出、今の現実

昔、とてもきれいな女の子がいた。

初めて会った瞬間、何か吸い込まれる感じがしたのを今でもはっきりとおぼえている。最初は何も話しかけられなかった。でも、そのうち会うたびに、何か話すことができて、そのたび毎にいろんなことを話した。何を話題として話したのかはもう忘れてしまったが、会話するたびに話し方の上品さが伝わってくる。

手紙も何通か送ったのをおぼえている。返事も何通かもらった。達筆だった。本当に魅力的なだった。ぼくなぞは手の届かないような高嶺の花のように思われた。

でも、先日一年ぶりぐらいに、久しぶりに会ってみたら、風貌こそ変わりは無かったが、表情がまるで無い。昔はあんなに表情豊かだったと思ったが、今では魅力のかけらもない、ただの女になっていた。

あまりの変わりように、少し戸惑った。それほど、彼女は変わってしまった。何がそんなに変えてしまったのだろう。思い出の中の女の子と同姓同名の別人が目の前にいるような感覚だった。「昔はあんなに・・・」というのは、単なる思い出になってしまった。

それが本当に悲しい。