ソフトウェア特許による危機を一般の人たちにどう訴えるか

ほんの数年前の話だが、ソフトウェア特許が米国などで問題になり始めた頃は、まだ日本ではそんなにソフトウェア特許に対して危機感というものが無かった気がする。でも、今は日本でもソフトウェア特許についてかなり問題になっている。その典型的な例が一太郎のヘルプが松下の特許侵害になっているという主張が裁判で認められたことだろう。

この問題の難しいところはいろいろあるが、その大きな所は「いったんソフトウェア特許が認められたら、特許迂回策を取るのは非常に難しい」というところにあるのではないだろうか。ふつうの特許ではなくてもまあいいかのような、どうでもよい方法が特許になっていたりするが、ソフトウェア特許アルゴリズムを特許にするというものである。これがふつうの特許とソフトウェア特許の違いである。

もし特許を使うと使わないので、効率の良いものがふつうの物よりも数倍程度でしか違わないのであれば、特許の主張する方法を使わないで居られるのかもしれない。でも、ソフトウェア特許アルゴリズムという、ソフトウェアの根幹をなすものの首根っこを押さえているのである。場合によってはまったく特許を踏まないではソフトウェアを作れない可能性すらある。現に起きたのがGIF問題だろう。(GIF特許はもう期限切れになったが)

コンピュータの発達により、特許の理念がどんどん崩れようとしている。そもそも特許の理念というのは中小企業が大企業からアイディアを保護するためである。しかし、特許裁判にはお金がかかる。今ではお金ある大企業が裁判を振りかざして特許を振り回しているのである。とてもじゃないが中小企業はお金のかかる特許裁判に勝てるはずもない。それにある特定企業だけの利益になって、社会全体が不利益を被るのは特許の理念に反する。どうにかして日本のソフトウェア特許を止めないと大変なことになる。ソフトウェア特許を阻止するために啓蒙の必要性があるが、まだまだ一般の人たちには伝えきれていない。